ずるいよ、きみはいつだってそうなんだ

 朝日新聞を読んでいて、いや違ったかな、いやとにかく角田光代が薦めていたので、「史実を歩く」という本を立ち読みしたら、ひとつめの話がすごく面白くてそのまま読んでしまった。文体の推進力ではないのだが、物語の推進力だけとは言い切れない。脱獄囚の話。手触りがいい。書き方によってはたぶん陳腐になる。研究に値する。あたい。
 ファミコンのサントラを2枚も買ってしまった(なおロックマンではない)。タワレコ新宿店10周年まで待てばいいのに。同じときに買ったスコット・ジョップリンのアルバムのフィット感が異常。ようするにラグタイムというジャンル。この人のジ・エンターテイナーという曲を聴いたことのない人はいないはずなので、聴けばああこれがラグタイムかあと分かるはずだが、なんだろうね、この良さは。落ち着く。ところで、クラシック好きを自認するようになって(恥ずかしい)からまだ1年も経たないが、それは衒学趣味みたいなものでもあるのだけど、なにか核となる自分の好きな音楽の地点の尻尾がそこにあると感じるからである。その尻尾は、特にカプースチンとか、あるいはジャンルを超えると、上原ひろみであったり、このスコット・ジョップリンラグタイムにも見えるのだけど、同時にロックマンのサントラにもある。この最後の事実が重要ではないかというのが仮説である。私が人生においてもっとも繰り返し聴いた音楽というやつは、たぶんゲームのサントラにあると思う。だって、基点となる町や延々とレベル上げをしてしまうラストダンジョンのBGMを聴く回数は、中学生の私がXを聴いた回数よりも多い気がする。例えば、ショパン英雄ポロネーズの中盤を聴いて、ラグタイムを聴いて、FFを思い出すのは、ゲーム好きかどうかではなく、我々の世代であったら避けられないような気がする。ゲーム音楽からスタートすると、クラシック(含む現代音楽)やエレクトロニカには行きやすいと思う。これは大事な論点のような気がしているのだが、詳細は来世。グールドのザルツブルクリサイタルのゴルトベルクってどうなの?
 ル・クレジオって読んだことナインだよなー。読まなきゃな。
 あとダイアリーズという月刊の男性雑誌が4号で休刊していて、この見切りの早さは見習ったほうがいい。って似たようなことをコミックヨシモトのときに言ったな。ダイアリーズはいい雑誌だった。これより内容の薄い雑誌が生き残るというのは基本的な事実。2倍給料を払って優秀な書店員を雇ったことで2倍の売上が経つわけではないことと、2倍お金をかけて面白い雑誌を作ったところで2倍の売上につながるわけではないことは似ているだろうか?似てないか。でも長期的に見たとき、意味はどちらも無意味にあると思うんだよなあ。
 でえーい。おれが書きたかったことはそんなことじゃないぞ。