うふふふ

　ポトスライム読了。とてもよかった。ミュージック・ブレス・ユー！！とぜんぜん違うなー。あっちは笑える小説なのに、これはしんみりしてしまった。空気の湿り具合がぜんぜん違ってすごい。同じ作家が書いたと思えない。カソウスキはこの中間くらいだった（カソウスキは好きだけどいいとは思えなかった）。ポトスを配って回って水がない国の人に断られる夢の話とか。個人的には、引越ししたあと恵那が砂糖もミルクも入れずに紅茶を飲んでるっていう描写が好き。ナガセの行動は恵那にニュートラルな影響を及ぼしてて、その上で、こういう乾いた状況において天然で大人ぶってしまう恵那の子どもらしさがすごく出てていい。あとアウトリガーカヌーが「シングルとダブルではシングルの方が安定してるっていうのが、個人的には衝撃的でね」とか最高だよな。そもそもこの台詞の面白さだけで最高なのに、妙なとこに反応してテンションあがるところがこの人はただのダウナー系じゃなくて、真っ当な反応をする面白くていい人なんだって分かる意味のある一文だと思うし。好きなので、すべてが良く見える。こういう微妙な描写でキャラが書けるのは得がたい。スケールの大きい話（淡々としてていいけど）が書けるともっとステキだ。オレは本物の和製アン・タイラーを探しているのだが、彼女は有力候補だ。
　友人の日記で知ったが、白水社が怪しい動きをしている。ステキ。http://www.hakusuisha.co.jp/exlibris/

群像 2008年 11月号 [雑誌]