良くない

 気が向いたので、9月に買ったもの読んだものをさらす。
 文藝別冊の赤塚不二夫赤塚不二夫が本当にすごいらしいことが判明。しかしナァ、オレはこの人の絵は苦手だ。何が苦手なんだろ、って思ったんだけど、背景とかがおろそかにされてるのがしっくり来ないのか。ともお12巻。広告批評の漫画がどうこういう特集。女の使用説明書。TRANSIT2は1ほどひどくない。週刊ベースボールのマスコット特集。買い損。イラストレーション9月号は、宇野亜喜良が選ぶ名画50という特集。作品を見られる写真で掲載していることがすごいと思う。ただし、初めて買ったが、1600円はさすがにない。ナイチンゲールは買っただけ。「この写真がすごい2008」は素晴らしい。買い。つまみ食い用。あらびき団公式パンフレット。何度でも言うが、風船太郎は泣笑い。「すぐわかる楽しい江戸の浮世絵」。これは副題が優れていて、「江戸の人はどう使ったか」。子供向けテイストのガイド本で、このサブタイトルはすごい。見た瞬間に着物でちょんまげのおっさんがマスかいてる絵が浮かんだもん。オレだけ?中身は微妙。なお、この東京美術のシリーズだと「すぐわかる20世紀の美術」がオススメ。それから「Be!TARO」。なんか、おととしくらいに岡本太郎の幻の傑作が発見とか騒いでたんだって?それを知って思ったのは、オレはつくづく興味のないことは頭に入らないんだなということ。いずれ興味を持つ可能性があることも現時点で興味がなきゃ生理的に受け付けない身体らしい。よつばとを初めて2巻まで読んだが、面白くないことはないけど基本的に低調。子どもの描写が面白いとかいう褒め方を見たことがあるが、子どもの描写専門家のオレに言わせれば中の下。とにかく緻密さがまったくない。ディテールのあるもののディテールを無視していて、感受性がないか、画力に自信がないかのどちらかである(なぜこんなに厳しいかというと、オレが子どもの描写専門家だからである)。ただし、この漫画がずるいのは、主人公の素性を謎めいたものにしていて、それを推進力に変えている点。アイデアとしてはとても良いし、読まされる。が、このクオリティでそれをやられるのは不愉快である。あとダイアリーズ3号買ったけど読んでないわ。読む気しないもん。なぜか今ブラックジャックを読んでみている。ところで、私の知り合いの出版業界の人は皆「ブ」で本を買わないらしい。それはそれでいい。オレも新刊書店で手に入るものは基本的に買わない。しかし、ここにしかない本もあるんだもの!例えばメタローグの本。レコレコとか、ことし読む本いち押しガイドとか、揃えたいんだけど、ないんだもん新刊書店に。なのに105円で売ってるんだもん、そりゃ買うよ。あと雑誌の古いバックナンバー。このチェーンの悪い部分は確かにいっぱいあって、とにかく目の敵にしている人が多いけど、流通してなくてここでしか手に入らないものがあればオレは探すし買うよ。本好きの共通の敵だと思っている人が多すぎて時々違和感がある。例えば、誰かが言ってたけど、本を捨てることができない本好きにとって本を引き取ってくれる場所があるのはありがたいことだと思う(でもオレは嫌いだから絶対にここじゃないとこに持ってくけどね)。だから新刊書店も・・・とか言うと、再販制の話になる。ダメだ、語りすぎ。こんな出版業界への言及なんかいらん。あと、面白かったころの編集会議でまるごと1冊みうらじゅんみたいなのがあって、買ったけど、これはすごい。これだけ本気でやれる雑誌は、最近はほとんど見かけない。そういえば、読もうと思って読んでなかったアマゾン・ドット・コムの光と影も読んだ。面白かったけど、これルポなんだよなあ。ルポって、その作家に入り込めないと面白くても辛い。芸術新潮バルテュス特集。バルテュスはすごいぞー。エゴン・シーレの画集は手に入るけど古本。ユリイカのグールド特集。「書店の未来をデザインする」は読んでなかったことに気づいて買っちゃった。ブックフェアを起こしただけ。これのついでにともおの2巻。最近、新刊書店で本を買ったときに、ともおをちょっとずつ買ってそろえようとしてる。あ、あと今月一番面白かった(予定)のは、「テレビの笑いをすべて記憶にとどめたい」。まさにぴったり同じことを思っていたので(だからたまにテレビのことを書くんだけど)、この本はいい。文章がうまいのか、読むだけで十分伝わる。笑いのツボがフェアだと思う。オレとセンスが近いだけなのか分からないけど、基本的にオールジャンルで公平に書いている。良質なブログを本にしたような感じ。現在出ているブログ本のほとんどが良質でないブログを本にしている(ようにオレは思える。例えば、オレにとって、きっこのブログはそこそこ面白いが、良質ではない)ため、まだ脅威じゃないんだけど、この本のように客観的で的確なことを書ける素人(ちなみにこれを書いた人が素人かどうかは知らん。オレが知らんだけ)はウェブ上に確実に存在する。これは個人的な意見だが(バカ言え、全てがオレの個人的な意見じゃないか)大事なのは偏向していないという点だ。偏向して面白いヤツなんか掃いて捨てるほどいるのだが(字あってる?)、掃いて捨てるほどいるからあんまり価値がない。大事なのは、客観的で的確(ちなみに客観的で的確なもの=没個性ではない)なことだと思う。つまり良質な素人をたくさん集められるというブランド価値。アウトローをいっぱい集めるのは簡単だが、こちらは難しい。これができればブランド力つまり既得権益みたいなもんで生きながらえてる老舗版元を倒せるんじゃないかという仮説(このへん何書いてるか意味わかんねえな。書いた時点ではなにかしら考えがあったのだろうが)。ま、オレは部外者だから興味ないけど。あと、スカートさん(吉田戦車)。あとオントモムックが出たので買い。特集は不滅の巨匠100。その中の特にすげー巨匠15人にピアニストは4人。アルゲリッチポリーニはど素人のオレも別次元な感じするからいいとして、あとホロヴィッツはあんまり聞いてないからわかんないけど、ルビンシュタインは納得いかないなー。あと、こさめちゃん(小田扉)。あと今月はようやくリハビリのように1冊だけ小説を読んだ。三羽省吾の厭世フレーバー。人に薦められた大量の本のうち、自分が好きそうなものを一つ選びきった。手放しじゃないけど、これは良作。視点を順に飛ばす(14歳男子→17歳女子→27才男子→42才おばはん→72才ジジイ)というのがアイデア一発になってなくて、家族小説と見せかけて日本を書いていると解説で角田光代が書いてるけど(とはいえなんかすっきりしない)、まあそんな感じかなー。劣化版アン・タイラーだと思って読んでたんだけど、途中から頭に浮かんだのが「ららら科学の子」だもんな。
 これを毎月やれるようにしたいんだ。まだ9月が終わってないのにやっちゃったけど。ちなみになんでやろうとしたかというと、数ヶ月ぶりに小説を読んだので、何か書きたかっただけ。